JR東海は、「キハ85系」気動車が特急「ひだ」の定期運行をまもなく終了することに合わせ、長年親しまれた同車両を使用した特急「ありがとうキハ85系ひだ」号を運転します。
導入初期再現の「リバイバル編成」
2023年3月18日(土)のダイヤ改正により、「ひだ」のすべての定期列車は新型のハイブリッド気動車「HC85系」に統一されます。改正後もキハ85系は臨時列車として運用される場合があるとのことですが、飛騨路での毎日の役務からは退く節目となります。
キハ85系は、1989年(平成元年)のデビュー以来、34年間にわたり特急「ひだ」「南紀」として活躍しています。JR東海の在来線特急の代名詞“ワイドビュー”を具現化するため、先頭車両には展望席が設けられたほか、すべての側面窓は大型化されています。ステンレス鋼による軽量車体と、米・カミンズ社製の高出力ディーゼルエンジンが相まって、最高速度120km/hという電車に負けない走行性能を獲得した点も大きな魅力です。
多くのファンへの感謝の意を込めて企画される「ありがとうキハ85系ひだ」は、2023年3月4日(土)・5日(日)・11日(土)・12日(日)の4日間、名古屋駅〜高山駅間で各日1往復運転されます。
デビュー当時の編成を再現するため、車両番号をすべて導入初期の「1番」で統一した4両の「リバイバル編成」が組まれます。車内では、JR東海の乗務員によるおもてなしや、キハ85系運行の思い出を振り返る企画が実施されます。ファンから「ワイドビューチャイム」と呼ばれる車内放送を聞くこともできます(「ありがとうキハ85系ひだ」の運転時刻、発売方法など詳細は下の図表を参照)。
「稲沢線」経由・名古屋駅通過!?
「ありがとうキハ85系ひだ」に乗車する方法は2通りあります。
【飛騨大鍾乳洞&大橋コレクション館】岐阜・高山市 約2億5,000万年をかけて形成された全長800mに及ぶ日本屈指の観光鍾乳洞!神秘の世界を満喫しよう(提供:アソビュー!)名古屋駅発(8:57発)・高山駅行(11:46着)の下り列車は、全国のJR駅の窓口等で一般発売する臨時列車として運転します。全車指定席で、乗車券のほか指定席特急券(グリーン車は特急券・指定席グリーン券)が必要です。指定席は乗車日の1か月前の午前10時からの発売開始です。なお、グリーン車の利用者限定で、世代交代するHC85系のデビューを記念した「ピンバッジ」のプレゼントが用意されます。
一方、高山駅発(13:44発)・名古屋駅行(18:01着)の上り列車は団体専用列車として運転し、ジェイアール東海ツアーズ(本社:東京都中央区)が企画する名古屋発着のツアー商品として販売されます。このメモリアルツアーには、往復列車と高山でのフリータイムが含まれており、車内では高山駅で人気の駅弁や、オリジナルノベルティの提供も行われます。往路はHC85系で運転する「ひだ」定期列車の利用となり、復路の「ありがとうキハ85系ひだ」と合わせて新旧2型式の乗り比べができます。
復路の岐阜駅〜名古屋駅間は、貨物列車が主に使用する「稲沢線」を経由するほか、一部の駅でも通常は走行しない副本線を通過します。さらに、いったん名古屋駅を通過し、普段は旅客列車が入らない熱田駅の回送線に入選した後、終着の名古屋駅に戻る珍しい行路も楽しめます。
ジェイアール東海ツアーズのWebサイトや各支店で2023年1月12日(木)15:00から受付が始まっており、販売プランは3種類から選べます。
このうち「撮影会付きデラックスプラン」「撮影会付きグリーン車プラン」を申し込んだ方は、高山駅留置線で行われる「ありがとうキハ85系ひだ」の撮影会に参加できます。また、高山駅改札口を優先的に早く入場できる特典や、HC85系デビュー記念ピンバッジのプレゼントも含まれています。
なお、先頭車両の最前列座席が確約されるデラックスプランは各日4名限定で、このプランのみ抽選販売が行われます。グリーン車プランと、オプションなしの「基本プラン」については先着順の一般販売となります。